iPhone 5 が発売されてから早4ヶ月、既に手にしている方も多いかと思います。さて、以前、「SIMフリー Galaxy Nexusが素晴らしい」という記事を書きましたが、それを上回るケータイ端末が発売されました。それがVerizon版 iPhone 5 です。
iPhone 5 の使いやすさ、マップの問題、塗装の問題などは置いておいて、通信機能のみに注目してみよう。通信方式、対応周波数帯で見ると、以前紹介したSIM フリー Galaxy Nexus GT-i9250 を上回る神機がVerizon 版 iPhone 5 なのである。Galaxy Nexus GT-i9250 の場合、GSMで4つの周波数帯、W-CDMAで5つの周波数帯に対応していた。しかし、Verizon版 iPhone 5 では、GSMで4つの周波数帯、W-CDMAで4つの周波数帯、CDMA2000で3つの周波数帯、さらにLTEで5つの周波数対バンドに対応しているのである。取りあえず、これだけ見ればいかにiPhone 5 が多くの通信方式に対応しているかが分かってもらえるだろう。
Verizonはアメリカ最大の通信キャリアである。実はVerizon版 iPhone 5 のみではなく、CDMA2000 を使ってネットワークを提供しているキャリア(日本の場合はau)で販売されているiPhone 5 であればVerizon版同様、様々な通信方式に対応している。しかし、日本の場合はSIMロックがかかっており、端末を購入したキャリア以外では使うことができないようになっている。また、CDMA2000ではSIMカードの概念がないため、海外の多くのCDMA2000キャリアではSIMカードを使っていない。そのためCDMA2000、W-CDMA両通信方式に対応している端末を手に入れても、SIMの入れ替えでキャリアを変えるといった使い方ができないのである。
しかし、iPhone 5 は違う。世界中の様々なキャリアに端末を提供しているため、仕様ができるだけ同じように作られているのである。しかし、多くのCDMA2000を使っているキャリアは様々な理由でSIMロックがかけられているのが多い。また、SIMフリーiPhoneの場合W-CDMA版しかないのである。そこで登場するのがVerizon版iPhone 5 である。
値段は1台あたり安くても8万円と、とても高価である。しかし、非常に多くの通信方式、周波数帯に対応しているため、一度手に入れれば、世界中のほとんどのキャリアで使うことができる。もちろん、Softbank、au、docomoも含めて。
ただ、一つ注意する点としては、iPhone 5 ではiPhone 4S まで使われていたmicro SIM よりもさらに小さい、nano SIM を採用しているため、通常のSIMカードをカットなどしたりして使わなければいけない。またキャリアによってはSIMカードのみでの契約を提供していない場合もあるので注意が必要だ。
Verizonでも以前はSIMロックをかけて端末を販売していた。Verizonは主にCDMA2000を使ってネットワークを構築してきた。しかし、近年モバイルデータ通信量の増加に伴い、新しい通信方式であるLTEに徐々に移行して行っている。そのLTEのネットワークを構築するために新たな周波数帯が必要になり、オークションで購入したのである。その際アメリカ政府の法律によって、新たな周波数帯を取得したキャリアはSIMロックを解除して販売しなければいけないことになったのである。
携帯電話は電波を利用して通信を行っている。それらには複数の通信方式が存在し、より良い通信方式へと常に研究が行われている。携帯通信の第2世代であるGSM、第3世代であるW-CDMA、CDMA2000、第4世代であるLTEなどがそれである。また同じ通信方式であっても、電波の利用周波数たいがキャリアによって異なっていたりする。そのため、同じ世代の通信方式であっても、異なった規格、異なった周波数帯であると使えないのである。そのため、最近のグローバル端末では複数の通信方式、複数の周波数帯に対応するよう出来ているのが普通である。
しかし、日本のキャリアから発売されている多くの海外対応機種はW-CDMAで一般に使用されている2100Mhzや800Mhzのみの対応で発売されている。もっとも、W-CDMAで多く利用される2100Mhzに対応しているため、接続にはさほど困らないが、キャリアやエリアが制限されてくる。
また、海外で発売されているSIMフリー端末などであっても第3世代通信規格がW-CDMAが主流であったため、CDMA2000に対応しているSIMフリー端末はほぼ存在しないといっても過言ではない。
しかし、Verizon 版 iPhone 5 はそれらすべてを覆してしまうのである。通信規格はGSM、W-CDMA、CDMA2000、LTEと実に4つの規格に対応している。また、周波数帯も各通信規格で4周波数帯バンドほど対応しているので、ほぼ世界中のキャリアをカバーしているといってもいいぐらいである。
したがって、もし、海外へよく行くのであれば、持っておいて絶対損の無い端末なのである。